京都大学 | 医学研究科人間健康科学系専攻 ASDproject

京都大学大学院医学研究科 履修証明プログラム
「発達症への介入による国民的健康課題の解決」

事業概要

本事業は、自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder,ASD)の精神生理を踏まえてその特徴を理解し、ライフステージを通じて生じる課題に適切に対応し得る高度専門人材を育成するプログラムです。

本学医学研究科は我が国で早期から自閉スペクトラム症(以下、ASD)の医療に取り組んでまいりました。また、人間健康科学系専攻という部門を有し、精神科リハビリテーションや精神科看護学など医療を広くカバーするとともに多様な医療職を養成しているという特長があります。

この地盤を活かし、本事業では、関連分野の専門家の協力を得ながら、以下の高度専門人材を育成するプログラムを提供いたします。

  1. 多様なメンタルヘルスの問題の背景にある自閉スペクトラム症を的確に診断できる
  2. ASDの特徴的な精神生理を理解している
  3. 保育、教育、就労、社会生活などライフステージを通じて生じる課題に対し、問題に応じたチーム医療体制を構築し、適切に対応することができる

さらに、このプログラムで育成した人材の輩出により、地域における支援の質を高め、メンタルヘルスにおける国民的健康課題を解決することをめざしてまいります。

2年間(120時間)の本プログラムを修了した受講者には、修了書および「自閉スペクトラム症高度専門支援者」の称号を授与します。

ご挨拶

京都大学大学院医学研究科 人間健康科学系専攻
名誉教授
十一 元三

自閉スペクトラム症(ASD)をはじめとする発達症(発達障害)は、現在、医療、教育、子育て、就労、福祉など広範な領域で欠かすことのできないキーワードとなっており、各領域にとって重要な取り組みの対象となっています。
しかしながら、精神保健の基礎知識を有し、発達症の人が抱える問題に精通した専門家はまだ少ないのが現状です。
また、当事者の年齢(ライフステージ)、家族の状況、抱える問題の性質も多種多様なため、多職種を交えた関係者・関係機関との連携を必要とすることが少なくないにも関わらず、そのような視点に立った支援・介入について系統的に学ぶことのできる教育機関はごく僅かにとどまります。

このプログラムでは、本学の半世紀以上にわたるASDへの取り組みを生かし、ASDについての教科書的理解やマニュアル化された介入技法にとどまらず、ASDの人がどのような心身機能の特徴(すなわち精神生理)を有し、自分をとりまく状況をどのように体験しているか(すなわち精神病理)を深く理解した高度専門医療人材の養成を図ります。
本プログラムを通じた人材の輩出が広く我が国のメンタルヘルスの向上につながることを願って関係者一同、取り組んでまいる所存です。